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人生という名の夏休み

旅、花、庭、畑…、備忘録代わりの写真日記

紺碧の空… 早慶戦

東京で独り暮らしをする息子を早慶戦に誘った。

てっきり断られるだろうと思っていたら、普段一緒に行動している友人らが、サークルで観に行くことになってしまった上に、
生協で販売している応援席券も早々に売り切れたとのことで、一緒に行くとの返事。

当日は、神宮球場の外で待ち合わせとしたものの、予定より早く東京に着いたことから、息子の暮らす街まで足を運ぶことにした。

新宿から黄色い帯の電車に乗り、最寄り駅に降り立ったのは、日曜日の午前10時前。
駅前の狭いロータリーを抜け、閑静な住宅街を歩くこと10分余り…

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たどり着いた寮の下からLINEで呼びかけると、さすがに驚いた様子で、急いで身支度をするから待ってほしいとの返事。

その間、近くを散歩しているからと伝え、駅とは反対側へあてもなく歩いてみると、思いのほか立派な神社が現れる。
平安時代に創建され、太田道灌にもゆかりのあるという八幡様の境内は、23区内とは思えないほど静まり返っている。

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寮生活とはいえ、氏神様にあたる八幡様に、息子へのご加護とお導きを祈願していると息子から電話があり、寮へと踵を返す。

久しぶりに会う息子に、少し痩せたなと思ったものの、それは口には出さず、自宅に届いていた息子あての郵便物を手渡し、
並んで駅へと向かう。

普段、必要最低限の連絡しかして来ない息子は、駅への道すがら、寮の友人達が、相次いで翌月退去するに至ったこと、
進学塾でのアルバイト講師登録のこと、先輩がバイト収入で扶養親族の限度額を超えたことなど、いつになく雄弁である。

本当は、こちらから聞きたいことがヤマほどあったものの、それは極力抑え、フランス語の授業の話やサークルの先輩の
放蕩ぶりなど、息子からの話が尽きないうちに、神宮球場への最寄り駅のひとつ信濃町駅に到着。

駅から球場に続く道には、両校の学生の一団をはじめ、息子の大先輩らしき中高年の集団が、早稲田カラーのグッズや、
慶應義塾大学のサークルが出版しているというスポーツ新聞を手に、人波となって続いている。

球場に近づくと、さらに人波は増え、内野席の入場ゲートにたどり着くと、スタンド越しに鳴り物の音や応援団のエールが
試合中かと思うほど聞こえてくる。

試合開始30分前で十分だろうとタカを括っていたものの、開始45分前にスタンドへと足を踏み入れると、内野席はほぼ満席…。

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一塁側、早稲田側内野席の最上段にようやく並んで観られる席を見つけ、両校のノックを観ながら、弁当に箸をつける。

春秋の東京六大学野球の最後を飾る伝統の早慶戦、今シーズンは慶應が立教大学と優勝を争っており、この日の試合に
慶應が勝てばシーズン優勝が決まるという大一番…。

息子によると、前日の試合は、早稲田が慶應の満塁ホームランによる4点差をひっくり返したものの、慶應に2本目となる
満塁ホームランで突き放された結果、8-5と、「メチャ腹が立つ負けだった。」とのこと。
入学から2カ月、息子にも早稲田魂らしきものが芽生えつつあるようだ。

この野球の早慶戦をはじめ、早稲田大学では、ラグビーの早明戦、年始の箱根駅伝が名高く、通常の学生生活に加え、
それらを通じて、徐々に「早稲田人」としてのアイデンティティが育まれていくのだなと、頼もしく感じる。
その一方で、また一歩、親から離れ行く様子に寂しさも感じる。

そんな感傷をよそに、前日の試合でフラストレーションが溜まった早稲田側、目の前での慶應の優勝阻止に向けて、
応援団もボルテージが上がっている。

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対して3塁側慶應側も、目前に迫った優勝に向かって、応援団によるシュプレヒコールが熱い。

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リーダーが、ナインの士気を鼓舞したり、時に早稲田の悪口を叫ぶと、応援席が揃って拳を突き上げ、「そうだぁ!」と叫ぶ。

改めて周囲の観客を眺めてみると、若年から年配まで思いのほか年齢層が幅広く、早稲田側にはOB組織である
「〇〇稲門会」のプレートが随所に見られる。

客層的には、一見して企業役員や官公庁の幹部風の男性から、アウトロー的な風采の男性まで、これも「人種のるつぼ」
と称される早稲田の応援席ならではと思わせる。

卒業から幾年月、ポジションや境遇が異なる者同士が、母校の応援を通じて、つかの間、一体感に包まれること…
あるいは、グラウンドを駆ける選手の姿に、若き日の自分の姿を投影したり、学生当時の心境に想いを馳せたり…
学生スポーツ観戦の真髄が、ここには凝縮されているように感じる。

この点、京都では同志社大学と立命館大学との間で、「同立戦」なるものが存在するが、その規模や知名度において、
早慶戦の足元にも及ばず、母校愛においても、この早慶戦の盛り上がりを見る限り、関西私大では希薄だなと思う。

やはり、旧帝大に伍して、この国の政財界をはじめ各界に大量の人材を輩出している両校ならではの自負のような
ものを感じる。
ちなみに調べてみると、早稲田のOBは60万人以上、慶應は40万人に及ぶとのこと。

やがて、両校8分ずつのノックが終了し、グランドキーパーにより白線が引かれ、定刻13時を若干過ぎて試合開始。

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前日の雪辱を果たしたい早稲田だが、プレーボール直後、先攻の慶應の先頭打者が、初球をセンター前へ鋭く弾き返し、
3塁側内野席からレフトスタンドまで埋め尽くした慶應側応援席は、のっけからヒートアップする。

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こうした球場の雰囲気に圧されたのか、早稲田の先発投手は制球が定まらず、連続ヒットを許し、あっという間に慶應が先制。
「ケイオーォ、ケイオーォ♪ 陸の王者、慶應ーッ!」、球場の左半分から慶應の応援歌「若き血」の大合唱が湧き上がる。

一般的にクールで洗練されたイメージの慶應、それに対して早稲田は、バンカラで大衆的とされるものの、試合運びも応援も
慶應に勢いがあり、早稲田を圧倒している。

この裏、早稲田が2ランホームランで逆転するものの、3回表には、慶應が再び四死球を絡めて逆転。
さらにその裏、早稲田が長短打で追いつき、試合は一進一退の展開に…

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双方に点が入るたび、慶應の「若き血」に対して、早稲田の応援歌「紺碧の空」の大合唱が湧き上がり、球場を包む熱気は、
シーソーゲームも相まって、イニングが進むにつれて異様なほどに盛り上がってくる。

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隣でいる息子も、慶應と早稲田の攻防に声を上げて一喜一憂し、早稲田に点数が入るたび、「紺碧の空」を熱唱している。

「仰ぐ日輪 光輝あまねき 伝統のもと すぐりし精鋭 
 闘志は燃えて 理想の王座を占むる者 われ等
 早稲田 早稲田 覇者 覇者 早稲田…」

約90年前に作られた古めかしい歌詞の応援歌を、母校のものとして歌う息子をうらやましく、誇りに思う。

このあとも、試合は逆転に次ぐ逆転で、スコアは5-6で慶應のリードのまま、7回裏の早稲田の攻撃へ。
試合終盤となり、チアリーダーの応援も最高潮となる。
      
      
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こうした懸命な応援が功を奏したのか、この回、慶應の3番手投手の制球が乱れ、ツーアウトながらランナー満塁。
一打同点、逆転のチャンスに代打で登場したのは、なんと我が家と同じ苗字の選手。

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「慶應タッオセー♪、オォッ!」のコンバットマーチが大音量で流れる中、隣でいる息子に、
「ここでこの子が打ったら、オマエ明日、学校でヒーローだな。」とからかうと、
「んなワケないだろ…」と息子。

そして、カウント3-2から、慶應の投手が投じた6球目。
代打の彼がジャストミートした打球は、鋭いライナーで左中間を深々と破る走者一掃のツーベースヒット!

一塁側からライトスタンドにかけての応援席は、地割れが起きるのではないかというほどの大歓声に包まれる。

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肩を組み、左右に揺れながら、この日、最大と思われる大音量で「紺碧の空」の大合唱が神宮の森に響く…。

ふと横を見ると、右手を突き上げて「紺碧の空」を歌う息子の姿。
「ワセダァ、ワセダァ♪ ハーシャッ、ハーシャッ、早稲田ッ!」

この日一番、息子がまぶしく見えた瞬間だった。


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  1. 2017/05/29(月) 22:23:53|
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