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人生という名の夏休み

旅、花、庭、畑…、備忘録代わりの写真日記

鳳凰三山 (2) 南御室小屋

南御室小屋の到着は、昼下がりの午後1時半。
小屋に隣接するテント場には、いくつかのテントが張られている。

   201807 houosanzan 205

この先の薬師岳小屋には水場がないことからも、この地にテント泊する客は多い様子。
海の日の3連休は、サイト全体をびっしりとカラフルなテントが敷き詰められていたらしい。

針葉樹の稜線にあって、この南御室小屋の魅力の一つは、やはり水に恵まれていることだろう。
小屋横の水場の他にも、小屋前のステンレス流し台に水がひかれ、絶え間なく注がれる南アルプス
の天然水がビールを冷やしている。

   201807 houosanzan 230

水の豊かな南御室小屋は、さしづめ鳳凰三山のオアシスとも言える場所。
鳳凰三山での小屋泊を新築間もない薬師岳小屋ではなく、南御室小屋にしたのも、水が豊かで
あることが決め手だった。

宿泊受付後、案内されたのは、1階奥のスペース。

 201807 houosanzan 210
      201807 houosanzan 220

この日の小屋の宿泊者は5名。
荷物を置くスペースの余裕もあり、夏山シーズンと言えど、週末をはずせば、ゆっくり休めることを
改めて実感する。

着替えてのち、改めて小屋内を見渡す。こちらはこじんまりとした食堂スペース

    201807 houosanzan 240

夕食は、登山者の到着をみながら、早ければ午後5時から、遅ければ5時半頃とのこと。

それまで3時間余りの間、キンキンに冷えたビールでも飲んでいようかと思ったものの、
標高2,400mでのアルコールの回り方が気になり、小屋で売っていた山梨オリジナルの
ドリップコーヒーを片手に、小屋前の広場でボーッとたたずむことにした。
   
    201807 houosanzan 208
   <超後ピン(笑)>

携帯の電波も届かない地で、下界の喧騒から解放されるひと時。
音と言えば、小屋番の女性が薪を割る音だったり、小鳥の鳴き声だったり…

時折、針葉樹の上をガスがめまぐるしく流れるものの、小屋の到着時にした雷鳴もそれっきり鳴らず…

   201807 houosanzan 209
   <小屋前のミヤマシシウド>

常日頃、何かに追い立てられている我が身を振り返り、こんなに何もしない時間を満喫するのは、
何年ぶりかと思う。

やがて、夕食は5時10分頃からとの案内があり、食堂へ。

    201807 houosanzan 258

献立は、ビーフシチューをメインに野菜サラダ、ポテトサラダ、竹輪、味噌汁にご飯。
シチューの肉は、口の中でホロホロと崩れるほど煮込まれており、ジャガイモの柔らかさも絶品。
水が豊富とはいえ、限られた食材や自家発電のもとで、ここまで美味しい料理を提供できることに
頭が下がる。

山小屋での最大の楽しみである食事が当たりだと、山行き全体の印象すら良くなるように思う。

夕食時に向かいあったオジサンは長野県内在住とのことで、海の日の3連休は、夜叉神峠駐車場の
混雑が激しく、仙流荘へ回り、北沢峠から仙丈ケ岳に登った話などを聴く。
翌日のコースは自分と同じく、鳳凰三山を登ったあと、広河原へと下るとのこと。

食後、満たされた気分で食堂横の談話スペースで山岳雑誌を手にしていると、突然、雷鳴がして、
トタン屋根を夕立が激しく叩き始める。

小屋番さんから、落雷すると大変だから、自家発電機も止め、雷が収まるまで消灯するとのこと。

雷雨は思いのほか長く続き、結局、そのまま消灯の午後8時を迎え、星空を仰ぐこともなく、
山小屋の夜は終わった。
(つづく)


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  1. 2018/07/28(土) 16:05:43|
  2. 百名山 【関東・甲信越】
  3. | コメント:0

鳳凰三山  (1)  夜叉神峠から南御室小屋

カメラを持ってくるのを忘れたのは、最寄駅から都心へ向かう急行に乗った直後だった。
この日は静岡に前泊して、夜明けとともに山梨県に向かう予定であり、新大阪から最終の
新幹線に乗らねばならず、引き返す時間的余裕は、もうない。

実に12年ぶりに南アルプスへ足を踏み入れるというのに、何たることやら…orz

翌朝、登山口の夜叉神峠駐車場には、8時半に到着。

    201807 houosanzan 100

道路の路肩に設けられた駐車場は、シーズン最盛期とはいえ、3分の1程度の駐車。
海の日の三連休は、早々に満車だったそうだが、この日は平日であり、登山口に近いスペースに停め、
身支度とストレッチを始める。

ここから夜叉神峠までは、標高差約400mをおよそ1時間で登りつめる。

    201807 houosanzan 105

地図では等高線を横切るように見えるが、歩き始めると、落葉松林に続く道は、それほど急登ではない。

上空は既にガスがかかり、陽の射しこまない森の中を進み、ぐんぐん高度を稼ぐ。
不思議なことに、セミや小鳥の鳴き声がしない。もっと言えば、登山者にも出会わない。

このコースは、深田久弥の百名山・鳳凰三山へ続くコースであり、それなりに登山者がいるかと思いきや、
拍子抜けであるが、首都圏からだと、中央道須玉IC側の御座石温泉や青木鉱泉が好まれるのだろうか…。

そんなことを思いながら、頭上が明るくなると、夜叉神峠小屋に到着。

    201807 houosanzan 117

時刻は9時半。ほぼコースタイムどおりに登ってきたことになる。

尾根上に出たことで、西側には、北岳から間ノ岳、農鳥岳に続く白根三山が眺められるはずだが…

    201807 houosanzan 110

猛暑日が続く中、ギラギラとした陽射しを受けて熱せられた山からは、ガスがどんどん舞い上がり、
既に三山を覆い隠している。

小休止のあと、尾根伝いに続くコースを登る。
途中の林の中に、群れを離れた若いサルの姿…

    201807 houosanzan 120

ズームにしてみたものの、いかんせんアイフォンでは、粗い画像となってしまう。

実は、今回の登山直前に、久しぶりに富山県警の「ピッケルを持ったお巡りさん」を読み返したのを契機に、
岐阜県警の山岳警備隊「山靴を履いたお巡りさん」をはじめ、岩崎元郎氏の「今そこにある山の危険」や、
山岳遭難にまつわる著書が多い羽根田守氏の「ドキュメント・滑落遭難」、「山岳遭難の教訓」、
「ドキュメント生還 -山岳遭難からの救出」などを立て続けに読み漁った。

        201807 houosanzan 125
   (ガスが立ち込める稜線)

紹介される事例は、遭難時のわずかな判断の差が生死を分けること、瀕死の重傷を負って何日も救援を
待つ遭難者の行動や心理状態など、いずれも示唆に富んでおり、自らも改めて今回の登山にあたっては、
これまで装備になかった非常用ツェルト、ポイズンリムーバーなどのファーストエイドキットを揃え、
非常食も多めに用意したのだが、その分、カメラへの意識が疎かになってしまったのかと思う。

返す返す、出発前の確認不足が悔やまれるが、日頃、1日の山行で、数百枚もの写真を撮る自分にとって、
久しぶりの南アルプスに挑むにあたり、山歩きに集中せよ、という啓示なのかとも思う。

ともあれ、針葉樹の中の登りは順調で、午前11時には杖立峠に到着。

    201807 houosanzan 130

このコース独特の鉄管製の道標。その名にあやかって、ストックを立てかけて、しばし休息。

さらにこの先、山火事跡と呼ばれる地点を正午頃に過ぎ…

    201807 houosanzan 135

これもまた群れから離れた若い鹿に出会ったり…

    201807 houosanzan 145

標高の高い所でしか見られない蝶に遭遇。

        201807 houosanzan 147

この蝶は、南御室小屋のブログ「小屋番日記」で紹介していたな…と思いつつ、名前が思い出せない。

やがて、道は涸れた沢のような所を進んだりしつつ、標高2,524mの苺平(いちごだいら)に到着。
 
    201807 houosanzan 150

針葉樹の森に不釣り合いな「イチゴ」の響きだが、周辺には、シロバナヘビイチゴが自生していることが
その名の由来だそうだ。

ちなみに、時刻は12時55分。標準コースタイムより30分以上早く、なかなか順調なペースである。
ここまで来れば、今日の目的地、南御室小屋までは約30分。
標識に従い、小屋への道を進み始めると、かなりのペースで下り続ける。

ほぼ平坦なコースかと想像していたが、途中で、本当にこのコースで合っているのか心配になるほど
下り続けると、小屋手製の看板が現れる。

    201807 houosanzan 155

看板どおり、ここは北東側が開けているせいか、電波状態が良く…

    201807 houosanzan 157

大学の生物研究会に所属する愚息に、先ほどの蝶の画像を送ったところ、普段は既読無視ばかりの
愚息から速攻で、「(クモマ)ベニヒカゲ」との返信…(笑)

やがて、前方の樹林の間に朱色の屋根が見え始めると、クラシカルな雰囲気の南御室小屋に到着。

201807 houosanzan 160-600

時刻は午後1時30分。少し早めであるが、今日の登山はここまで。
受付を済ませて、表の広場でくつろいでいると、雲間から雷鳴が聞こえ始める。
(つづく)


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  1. 2018/07/23(月) 19:05:51|
  2. 百名山 【関東・甲信越】
  3. | コメント:0

雨の山歩き(2) 谷川岳

「苦しくても、苦しくない」
「冷たくても、冷たくない」
「重くても、重くない」
これらは、所管区域内に北アルプスを有する富山県警・山岳警備隊で受け継がれている言葉である。

山と渓谷社から1985年に出版された「ピッケルを持ったお巡りさん」は、隊員や遭難者の遺族の手記で
構成され、氷点下20度以下に達する暴風雪の山における遭難者の救助活動、あるいは、一般の登はん
ルートから外れた断崖絶壁を、死後硬直した遺体を背負って、ザイル一本で昇り降りしたり、若くして命を
落とした学生の亡骸を、麓で待つ家族の元に連れ帰ったり、遭難救助の際に雪崩に巻き込まれ、同僚が
殉職してしまうなど、どれもがフィクションのない事実だけに、読み進むにつれ、相当な衝撃を受けた。

201806 tanigawadake 250
(谷川岳肩の小屋付近)

こうした過酷な状況の中で、富山の山岳警備隊は、関係機関との緊密な連携体制のもと、長年にわたり、
多くの遭難者を救助してきた実績から、県境での遭難の折には、「落ちるなら富山県側へ。」と言われる
ほどの信頼を築きあげてきたとされている。

      201806 tanigawadake 280
      (ミヤマキンポウゲ)

ひるがえって、この谷川岳は、遭難者(死者)数が世界一として知られるが、きっとその陰にも、遭難者
の遺族をはじめ、救助や遺体収容にあたった山岳警備隊や関係者など、多くの人々の悲しみや無念が
あったに違いない。

201806 tanigawadake 300
(オキノ耳へ続く稜線)

マスコミ報道で接する山の遭難事故の報せは、淡々として、どこか画一的な印象を受けるものだが、
その陰には、命がけで捜索や救助に臨んでいる関係者の多大な労力や涙があることを改めて知り、
自らは絶対に山で遭難してはいけないと自戒する。

201806 tanigawadake 400
(谷川岳山頂「オキノ耳」)

それにしても、「辛くても、辛くない。」
なんと力強く、頼もしく、哀しい言葉なのだろう…。

201806 tanigawadake 410
(イワカガミ)

無謀な登山に起因する遭難者の救助に命がけで臨み、挙句の果てに警備隊員が犠牲になるケース
など、読んでいて、やり切れぬ思いがこみ上げてくる。

それでも、遭難の一報が入ると、警備隊員は、重いザイルや救難物資を身に着け、悪天候の中、
現場に向かう。
「絶対に助けるから。」、「なんとしても、家族の元へ連れて帰るから。」
与えられた任務とはいえ、崇高なその精神に、背筋が伸びる思いがし、日々の下界の暮らしの中で、
ちょっとしたことで不機嫌や不満を覚えることが、気恥ずかしくさえ感じられる。

今シーズンもきっと多くの人々が、警備隊の頼もしさに感謝するのだろう。

     201806 tanigawadake 320
       (オキノ耳)

本格的な夏山シーズンを前に、自分だけは人様の迷惑にならぬようにと誓う、梅雨空の稜線。



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  1. 2018/07/08(日) 23:30:24|
  2. 百名山 【関東・甲信越】
  3. | コメント:0

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HAM1826

Author:HAM1826
季節の草花、温泉、旅行記をはじめ、自分の気に入っている風景を写真日記風に綴っています。

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